今ではあまり見ることも少なくなった「ししおどし」ですが、ビー玉を使って同じような装置が作れるみたいなので、見様見真似で作ってみることにしました。
「ししおどし」は、漢字で正式に書くと「鹿威し」のようですが、「鹿脅し」「獅子脅し」と書かれていることもあります。
竹筒の水が溜まると、水の重みで筒の頭が下がって水が流れて、軽くなったらもとに戻る動作を繰り返す。竹筒が下がった時に石に当たって心地良い音を出す仕組みのもの
もともとは、獅子やイノシシを追い払うために考案されたので「鹿を威嚇して追い払う」ことから「鹿威し」というのが名前の由来です。
今回は、水の代わりにビー玉を利用して、「ビー玉ししおどし」を作ってみたいと思います。
平和工業 ビー玉ししおどし TH-11
ししおどしの構成
全体像
本体の寸法は作りながら決めていったので、参考程度で見てもらった方がいいかと思います。当初はもう少し大きなサイズで作っていたのですが、収納面や持ち運びも考えて少しコンパクトに抑えました。
材料はホームセンターに加工されて販売されているヒノキの工作材を利用します。
レールの内寸法を約20㎝くらいにすると、ビー玉(大)は直径2.2㎝くらいなので8個くらいは設置できるスペースが確保できます。
ビー玉は多く置けた方が連続した動きを長く楽しめますが、蓋のコマ部分にビー玉の数に比例して重さがかかるので、動きが悪くなる場合があります。
8個くらいでも連続の動きは十分に楽しめます。
土台部分
土台の大きさは自由ですが、ビー玉を受ける部分は飛び出さないように1.5cm程度で枠を設けておきます。
土台はできるだけコンパクトの方が収納には最適ですが、小さくなりすぎると上部とのバランスが悪くなって倒れてしまうので注意が必要です。
本体の支柱を差し込むための穴を開けてボンドで固定します。それだけだと子供が遊んでいるときに力が入ると傾いてしまう可能性があるので、補強材を火打梁のように設置しておきます。本体へはφ5mmの穴を開けて棒をダボにしてボンドで固定します。
アーム受け皿部分
上下に動いてビー玉を運んでくれるアーム部分は、受け皿と後ろのおもりのバランスがビー玉の重さによって変化するように調整しなければいけません。
ビー玉が受け皿にのった時にアームが下がるかどうかは、「てこの原理」によるので
重さ × 支点までの距離 受け皿の方が大きくなればいいことになります。
この図を、「てこの公式」に当てはめると
(A1+A2)× a = B × b
が成り立った時に、釣り合っている状態になります。つまりこの時、アームは動かなくなります。
そのため、ビー玉が受け皿に乗った時に (A1+A2)× a > B × b となっていればアームは下に降りていきます。
今回のケースに当てはめて必要なおもりの重さを算出してみます。
【ビー玉が乗った場合】
(21g+20g) × 25cm = mg × 15cm
m = 68.3g
【ビー玉が乗っていない場合】
20g × 25cm = mg × 15cm
m = 33.3g
つまり、おもりは 33.3g < m < 68.3g の範囲に収まっていれば、ビー玉の重さによってアームが上下してくれるようになります。
おもりの重さは算出した数値の範囲内に収まっていれば、ししおどしの動きにはなりますが、数値がどちらかに寄っていると、下がるスピードか戻るスピードのどちらかが遅くなったり、速くなったりしてバランスが悪くなってしまいます。
そのため半分程度の重さに調整してあげることをお勧めします。
レール部分
レールは多少傾いていれば、ビー玉は自然に転がっていくので、あまり急勾配にならないように固定させます。先端部分はビー玉が落ちるように、2.2㎝のビー玉に対して3㎝程度穴を開けておきます。
アームが下がっているうちはビー玉が落ちないように蓋を設置します。
蓋はビー玉が落ちない程度の穴が塞がるように大きさを直径6㎝で設定します。
この蓋の調整が一番苦労しました。
レールにビー玉を多く乗せれば乗せるほど、蓋に重さがかかるのでアームの返しで蓋が上がらなくなってしまいます。
そのため、蓋の側面を底に向かってカーブさせて、横からかかるビー玉の力を逃がすようにします。
あとは、蓋が下まで下がり過ぎないように緩衝材を入れて、ほどよいところで止まるようにして、アームの下からの突き上げがスムーズに蓋に伝わるように調整します。
何度も試しながらもっともスムーズに動く形に調整していく必要があります。
ビー玉ししおどしの動く様子
完成した動きは↓こんな感じになります。
蓋の形や重さがうまくかみ合っていないとアームの突き上げの力だけで持ち上がらなくなってしまいます。ビー玉と蓋の位置や真ん中の棒が通る穴との摩擦を動きが滑らかになるように調整してあげる必要があります。
まとめ
てこの原理を利用したおもちゃで、一見難しそうに見えますが、予めつり合いの計算ができていれば、重さと長さを設定するのに苦労しなくてすむので、意外に簡単に作ることができます。
難しい点は、蓋の動きを如何にスムーズにすることができるかです。
初見の子供は、ついつい自分で動かしたくなってしまうので、ししおどしをうまく動かすことができないのですが、遊んでいるうちに「どうすれば自動でうごくようになるか」を学んで理解するようになります。
そうすると、遊び方が変わって、レールのビー玉が無くなる前に土台に落ちたビー玉を拾ってレールに戻して、エンドレスに動かし続けるような遊び方をするようになったりします。
ぜひ、作り方の参考にしてみてください。